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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 




キーワード解説
技能の種類に合わせた指導の方法





森 和夫  技術・技能教育研究所



技能の種類に併せて指導すれば効果が上がる。1つの指導方法でどんな技能も指導できると考えることは得策ではない。
ここでは技能の種類、特性に合わせた指導方法を検討してみたい。



技能の種類については、明確に分類したものは少ない。生産現場では必要に応じて分けて対応していると考えられるが、さまざまな産業を横断的に扱っているものはなかなか見ることが出来ない。筆者らは最も多様な技術・技能の集大成としてある自動車工場における技能者の技術・技能を分類する試みをした。この結果、知的管理系技能と感覚運動系技能と2者の合成という3つの括りで説明できることを明らかにした。保全技能者は2つの分野の両方ができなければならない技能分野で、最も広範な技能分野である。この研究では、技能者のパターン分類を行って、自動車製造の各工程別にどのように分布しているかについても示した。その結果、多様なタイプの技能者で構成されているのは保全になっていた。この他にも興味ある結果が見出せた。詳しくは小論をご覧頂きたい。

感覚運動系技能は訓練の始めと終わりとでは指導の方法を変えるとよいことがわかった。例えば、訓練初期には基本の確実な習得と自己の作業を分析・把握させ、訓練中期から後期は現実的な実習体験を集中的に行うとよい。そして、訓練中期には作業プランというものが出来上がってくるので、その出来上がりの状況を確かめとよい。また、作業段取り能力というものの養成を意図的に挿入することで完成度が高くすることができる。

感覚運動系技能   主として人間の感覚機構と運動機構に依存する技能
・実際的で応用的な実習課題は習熟が急速に進む (能力構造の細密化や分化を促す)
・訓練初期には基本の確実な習得と自己の作業を分析・把握させる
・訓練中期から後期は現実の実習体験を集中的に行う
・訓練中期には作業プランの確立を確かめる
・作業段取り能力養成を意図的に導入する
・個々の作業概念と段取り能力を具体的な課題の中で形成させる
・実習日誌を書かせて、その内容を見れば習得程度は判定できる

知的管理系技能  主として人間の知的管理機構に依存する技能
・技術的知識と実技能力の融合は意図的に形成させる
・操作的能力に集中せず,作業概念の形成を意図した実習を挿入する
・作業の全体像や、技能課題の構成・構造を予め分析・検討させ,調べさせる活動を導入する

技能一般
・単に作業結果としての成果でなく,成果のとらえかた,意識に踏み込んだ指導をする
・作業プランや作業意識を把握すると確実な習熟へ促進できる
・生産技能は感覚運動系技能と知的管理系技能の性質に合わせた教育訓練を計画・実施する
・繰り返し訓練による方法では動作と作業結果の関係を把握することは可能であるが,計画性や生産管理他の内容を学習させることで熟練に至る
・熟練すると動作に無駄がなくなり,スムーズになる,企画性や計画性が生まれ,個々に頻度の高いものから習熟し,全体の統制に向かう





←※こちらもご覧ください



詳しくは「技の学び方・教え方」をご覧ください。
これまでの技能研究の中から、技を学ぼうとする方々や教える方々にメッセージを送ります。
技を学ぶということを中心にしながら、さまざまなノウハウをブックにまとめている。

目次
第1章 技を学ぶとはどのようなことか
第2章 職人の技と生き方から学ぶ
第3章 技能研究でわかったこと-技が上達するとはどのようになることか-
第4章 作業段取りは技の中央制御室
第5章 機械の運転操作技能を学ぶ
第6章 技を伝えるには
第7章 技能の種類と学び方・教え方
第8章 高度な複合技能の学び方
脚注
あとがき