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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 



キーワード解説
「OJTで成功するにはどうするか」



OJTは誰でも出来るようで誰でも成功はしない。
始めて見ると意外に難しいOJTを攻略するには、ある考え方が求められる。
ここさえつかめれば、ハイスピードでその感触をマスターできる。
新人教育を任された時にどのようにこれを推進すれば良いかを開設しよう。


森 和夫  技術・技能教育研究所



2021/05/20

OJTとは何か
「仕事に就きながら指導すること」を言う。英語表記で表すと「 On the Job Training 」である。
仕事をやらせながら仕事を指導することである。簡単なようで、これが実は難しい。
始めて教育を担当する人の誤解は「仕事を見せれば相手は理解できる」ということだ。
学習者はとにかく、その仕事は始めて見るものかもしれない。
おそらくそのことが指導者と学習者の間で認識が異なっているのである。
指導者にとっても「いつもやっていることだから、見ればわかるよね」と安易な気持ちで指導に臨んでいる。
OJT指導で成功する第1のポイントは「学習者は何も知らないということを前提に指導する」のである。


そして指導者自身も「その仕事を説明する」ということがこれまでなかったという事を認識すべきだ。
全く知らない人を相手に、これまでその仕事を説明することすらなかった指導者が教えるのだから、OJTで成功する方が不思議である。
そのように認識することが大切である。
OJT指導で成功する第2のポイントは「指導者も仕事を他人に説明した経験がない」と言うことを認識すればよい。
だから、それ相応の準備が必要になる。
仕事を他人に説明する必要が無かったから、説明できないのであって、これは当然のことだ。
このような当たり前のことを無視して、どうもうまく行かないというのはナンセンスである。
さて、これらのことを認識すれば、私たちは何をすれば良いかが明らかになる。

OJT指導で成功する第3のポイントは「OJTのもつ実践性、具体性を活用した指導にすること」である。
OJTの特徴、良さはどこにあるかを考えると、それはOff-JTにはない優れた特徴である実践的な指導方法にあることだ。

これ無しにはこの教育を活用する意味が無い。だからといって、繰り返し訓練や単なるリピート訓練に走るのは早計である。
この特徴がわかっていながら、これを活用し切れていないところに課題を抱えているものもある。

OJT指導で成功する第4のポイントは「相手を知り、自らの技術・技能を知ることから始めること」だ。
相手とは学習者のことである。・・・と言っても何を知れば良いのだろうか。
無駄な情報をいくら知っても役に立たないばかりか、相手に変な印象を与えてしまう。
指導者が知るべき情報は学習指導に関することだ。
これまでにどのようなことをしてきたか、何についてどこまでどのように知っているか、これからの指導に足りないものはないか・・などだ。
また、自らの技術・技能について整理しなければならない。
いつもやっていることを単に見せるだけでは指導とはならない。
このことを忘れているのである。


ここまでの4つのポイントを知っただけでも随分と指導が変わることだろう。
さらに進めてOJT指導の成功にさらに近づけていきたい。


つづく





OJTの教え方セミナーを開催します
                                              

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 東京支部生産性向上人材育成支援センター でオープンセミナー「作業手順の作成によるノウハウの継承」を実施します
作業手順の作成によるノウハウの継承
コース番号080-096080-097

日時
第1回 2021/9/28‌㊋9:30~16:30(6時間)
第2回 2021/11/5‌㊎9:30~16:30(6時間)


締切
第1回 2021/9/7㊋ 
第2回 021/10/15㊎
実施機関   
一般財団法人職業教育開発協会

会場     
ハローワーク墨田5階 最寄駅‌JR錦糸町駅より徒歩3分
受講料   
3,300円(税込)

内容
後輩従業員へのノウハウの継承を目指して、中堅・ベテラン従業員の作業の見える化を行い後輩従業員が習得すべき作業手順の作成に係る知識とスキルを習得します。


高度ポリテクセンターで技術・技能伝承セミナーを開催します。募集中。
技能伝承と生産性向上のための
OJT指導者育成
【New】技能伝承と生産性向上のためのOJT指導者育成
    (計画・指導・評価の方法)
訓練日程
第1回  6/9(水)~ 6/11(金)コース番号 G2001
第2回 12/8(水)~12/10(金)コース番号 G2002

講師 森 和夫

実施時間帯  10:00〜16:45 (昼休憩45分)
総訓練時間  18時間     
受講料  19,000円  
定員  15名
対象者 企業における指導者の方
≪訓練内容の概要≫

生産現場における現場力強化及び技能伝承をめざして、技能高度化に向けた能力要件に基づく人材育成計画の作成方法、作業分析手法、技能導技法(OJT指導法)を習得する。また、CUDBAS(クドバス)手法により、職業能力の見える化を図り必要な能力の整理法を習得する。

※生産性が向上する人材育成のマネジメントが可能となります。



お申し込みはこちらからどうぞ→ 第1回 6/9(水)~ 6/11(金)   終了しました
第2回 12/8(水)~12/10(金)  https://www.apc.jeed.go.jp/zaishoku/2021/G2002.htm
受講受付は、3月2日(火)9:00から開始予定です。
■このコース日程に参加できない場合にはご希望の日程に合わせて講師が出向いて実施できます。→詳しくはこちらをご覧ください。


ポリテクセンター埼玉で技術・技能伝承セミナーを開催します。募集中。

技能伝承と生産性向上のための
OJT指導者育成

【New】技能伝承と生産性向上のためのOJT指導者育成
    (計画・指導・評価の方法)
訓練日程
9月13日(月) 〜 15日(水) コース番号 S027A

講師 森 和夫
実施時間  9時15分 〜 16時00分 
総訓練時間  18時間     
受講料  20,000円  
定員  15名
対象者
自社のOJT等の人材育成に従事する技能・技術者であって、指導的・中核的な役割を担う方又はその候補となる方
≪訓練内容≫

生産現場における現場力強化及び技能継承をめざして、技能高度化に向けた能力要件に基づく人材育成計画の作成法、作業分析手法、技能指導法(OJT指導法)を習得します。

現場力強化及び技能継承をめざして、クドバスを用いた人材育成計画の作成法、作業分析手法、技能指導法をマスターするコースです。





お申し込みはこちらからどうぞ→ https://www3.jeed.go.jp/saitama/poly/worker/seminar/2021/s027a.html
■このコース日程に参加できない場合にはご希望の日程に合わせて講師が出向いて実施できます。→詳しくはこちらをご覧ください。


立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のポリテクセンターで技術・技能伝承セミナーを開催します。

○ポリテクセンターでは、在職者向け職業訓練(能力開発セミナー)を実施しています。在職者の方ならどなたでも受講できます。
○職業教育開発協会は令和3年度は能力開発セミナーコースを、6月と12月に高度ポリテクセンター(千葉)、9月にポリテクセンター埼玉(埼玉)で開催します。
○セミナー名称は「技能継承と生産性向上のためのOJT指導者育成」です。
このセミナーの主な内容は人材育成計画作成法(CUDBAS手法の演習)、作業分析法(技能分析手法他)、技能指導法(5つの指導活動他)で、
指導者に必要な手法を短時間で学習できます。職業教育開発協会の保有する3つのツールの最短習得コースです。ご参加ください。
※パンフレットは→ こちら






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※森 和夫 略歴
職業能力開発、産業教育学・労働科学を専門とし、産業界を中心に活動。ライフワークは「技の上達」、博士(工学)。現在は技術・技能伝承、人材育成等のセミナー・講演の他、企業との共同研究、コンサルテーション、出版活動を行っている。現職は株式会社技術・技能教育研究所代表取締役、一般財団法人 職業教育開発協会代表理事。
主な経歴は東京農工大学教授(〜2006年3月)、徳島大学教授(〜2004年3月)、職業能力開発総合大学校教授、助教授、講師(〜2000年3月)。学会活動は日本産業教育学会、日本人間工学会、人類働態学会、日本教育心理学会などで活動。海外活動はJICAよりマレーシア、ガテマラ共和国、ボリビア、フィリピンに海外短期派遣専門家として派遣され技術教育の指導者養成を実施した。

基礎研究とプロダクツの関連
 技術・技能教育研究所の研究は「技術・技能研究」「職業能力研究」「指導技術研究」の3分野から構成されている。これらによって技能習熟理論が構築され、能力構造論として集大成される。この内容の基盤にあるものは能力論である。この基礎研究から幾つかのプロダクツが生み出された。仕事分析手法CUDBAS、指導技術訓練システムPROTS、技能伝承システム、技能分析手法SAT、生産技術教育の方法理論、人材育成の見える化コンセプト、開発的指導法がそれである。これらのプロダクツは時代のニーズに対応して応用プロダクツを生み出した。社会で、企業で利用され進化することで、広大なアプリケーションが生み出される可能性を秘めている。