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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 





暗黙知を管理する


森 和夫  技術・技能教育研究所


技術・技能伝承は一過性のものではない。いつの時代も解決していくべき永遠の課題だ。だから暗黙知は職場で絶えず生まれるものと考えた方が良い。これを解決するには単なる技術・技能伝承として捉えるのではなく、「暗黙知の管理」として捉え直すことが必要である。

下図は技術・技能伝承のステップである。ステップ1〜3をたどれば確かな伝承が展開できる。この中で最も重要なことはステップ3の指導して結果を出す部分である。あくまでも能力マップを作ったり、マニュアルづくりはその下ごしらえに過ぎない。

やり方がわからない、成果が見えない、成果が出ないということはよく聞く話だ。
これは次の3ステップを踏んで実施すれば確実な成果に結びつく

STEP1 
何でも実施したいが、まずはテーマの選定が大切だ。
技術・技能伝承には時間も、負担もかかるので、最もすべき内容を選定する。
必要性が高く、経営戦略との関係で重要な内容を選びます。
特に、影響度の大きいものをまず手掛けることで、安定につなげます。
そして、計画を立案します。技能伝承は計画的展開が必需の活動です。
いつまでに誰が、どのように、実施するかを明確にします。

STEP2
テーマを絞り込んだら、指導の準備になります。
まずは、暗黙知を整理しなければなりません。
指導の最も大切なことは、教えるべき内容を整理して、伝えることです。
「作業を見ればわかる」というのは傲慢に過ぎません。
見てわかる人は技能伝承の必要のない人です。すでにその技量があるから、見どころ、考え方、ポイントが示せるのです。
これから技を受け継ぐ人にとっては、何を、どのように見ればよいかはわかりません。
そこで、その技能のポイント、見どころ、考え方を整理します。
その作業に含まれる、カン・コツを明確にします。
後継者に伝わりやすく、わかるように整理するのです。
このようにして指導教材、マニュアル、練習課題を用意します。

STEP3
いよいよ、実施です。
指導は簡単そうに見えて、奥が深いものです。
優れた教え方で指導します。
また、後継者に合わせて指導することも大切です。
その進め方はわかりやすく、身に付く内容とします。

このようにステップをたどれば、あとは成果の検証です。
基本的な内容をチェックした後、実際の作業を後継者が実行してみて、成果を検証します。
このステップはシンプルですからだれでも実践できます。
最後まで実施することで成果が得られるものです。



これを「暗黙知の管理のプロセスとして」下図のように整理してみました。
まず、暗黙知がどこにあるかを特定します。
あの仕事のこの部分・・、というように所在を確認します。これには技術技能マップが役に立ちます。
そして、暗黙知を分析的に記述して整理します。これには技能分析氷河役に立ちます。
次にそれらを技能マニュアルに落とし込んでいきます。
動画も入れるとわかりやすくなります。
まずは文章にして、かつ、マニュアルとして完成度を挙げ、それらを使うツールも同時に作ります。
マニュアルと、道具などを用意した場所を技能教育道場と呼びます。




実際に技能伝承を進めるにはいろいろなタイプがあります。
よく行われるのは優れた技能を後継者に引き渡すタイプです。
これを「トップDNA伝承」タイプと呼びましょう。
このほかに職場全体の技能を向上させる「ボトムアップ伝承」タイプがあります。
中には海外展開に役立てることを目的として、国内の優れた技術・技能を移転する「グローバル移転」タイプがあります。
このようにして暗黙知を指導していきます。






 こちらもご覧ください。
暗黙知はそのまま放置していただけでは暗黙知のままである。
暗黙知を明確化する理由はそれをわかりやすく伝承するためだ。
ここでは暗黙知を明確化して技能伝承に役立つように整理する方法を紹介する。




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業教育開発協会主催セミナーB
暗黙知指導の理論と実際

〜生産性を向上させる暗黙知の指導は重要課題、その理論と実際を演習で学ぶ講座〜

開催日時  2019年8月より隔月開催  9:30〜16:30 

会場    江東区文化センター 研修室他(東京都江東区)
参加対象  暗黙知が伝えられない悩みを持つ方、暗黙知を後継者に伝えたい方、団体及び企業の教育担当部署及び研修センターなどで教育指導をしている方、
     人材育成の担当者及び指導者の方、技術・技能伝承に従事している方、これから従事する方、その他テーマに関心のある方。
定員   20名
使用する手法  SAT技術・技能分析手法、暗黙知インタビュー手法、技術・技能マニュアル作成法
配布テキスト等  暗黙知指導の理論と実際テキスト (オリジナルテキストを配布)


受講料  36,000円(税込)
主催   一般財団法人 職業教育開発協会



ねらい
1. 暗黙知の定義からその性質までを検討します
2. 暗黙知に対する考え方、取り組み方を考え、暗黙知伝承のあり方を考えます
3. 暗黙知の明確化と技術・技能分析手法を演習します
4. 暗黙知伝承の方法・システムを検討します
5. 暗黙知伝承の実例を紹介します

はじめに
 ベテランは長い間の経験によって暗黙知を獲得し、それによって仕事を進めています。この暗黙知は企業の大切な資源です。暗黙知はひとりひとりの能力として蓄積されます。この資源を多くの後継者に伝承できれば、生産性は飛躍的に向上できるのです。しかし、暗黙知伝承は簡単にはできないものです。なぜなら、暗黙知の多くは表現しにくいという点にあります。ですから、暗黙知伝承は思いつきや、見よう見まねの取り組みでは成果にはならないものです。
 このセミナーでは暗黙知とは何か、暗黙知の特性や種類、対応の仕方、伝承方法を学習します。重要な暗黙知の明確化を技術・技能分析手法、暗黙知インタビューで明らかにしていきます。セミナーでの説明はわかりやすく、そして演習を中心にして学習します。職場人材の育成に関わる方々、指導者の方々に受講をお勧めします。

プログラム
1.暗黙知伝承の必要性
2.暗黙知を捉える
 2.1暗黙知とは何か、どう伝えるか
 2.2暗黙知の4種類・4階層の仮説
 2.3作業概念の形成を考える
3.暗黙知伝承の方法論
 3.1暗黙知伝承の考え方 

 3.2伝承活動の基本モデル
 3.2活動の展開プログラムと実践例
4.暗黙知の明確化の実際(演習)
 4.1技術・技能分析の考え方・整理の仕方
 4.2技術・技能分析の方法演習
 4.3暗黙知インタビューの方法演習
5.暗黙知伝承のあり方
 5.1本質を追究すること
 5.2ものの見方、考え方を伝えること
 5.3ものごとの多面的理解と多角的発想
 5.4研究開発の暗黙知伝承の仕方

6.まとめ


講師
森 和夫 職業教育開発協会




独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 東京支部生産性向上人材育成支援センターでオープンセミナー「作業手順の作成によるノウハウの継承」を実施します。

  詳しくは 雇用支援機構東京支部ホームページをご覧ください。


      

 作業手順の作成によるノウハウの継承

 コース番号 080-096、080-097
 日時
 第1回 2021/9/28??9:30〜16:30(6時間)
 第2回 2021/11/5??9:30〜16:30(6時間)

 締切
 第1回 2021/9/7? 
 第2回 021/10/15?


 ※ちらしは→こちら 第1回 第2回



 実施機関  一般財団法人職業教育開発協会
 講師   森 和夫

 会場  ハローワーク墨田5階、最寄駅 ?JR錦糸町駅より徒歩3分
 受講料  3,300円(税込)

 内容
 後輩従業員へのノウハウの継承を目指して、中堅・ベテラン従業員の作業の見える化を行い後 輩従業員が習得すべき作業手順の作成に係る知識とスキルを習得します。