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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 






クリニカルラダーの作成と開発


森 和夫  技術・技能教育研究所



■クリニカルラダー作成の意義


■クリニカルラダーで誰が作るか、誰が評価するか
看護師の力量評価をする主体は原則的には上司が部下の力量を評価すべきである。また、自己の力量を評価し、目標管理として日々、研鑽することも大事である。したがって、本人評価が求められる。
 このように考えると、評価対象とする階層の仕事がよくわかる人が複数で作成すると良い。階層を経験年数によって、ラダー構成をレベルT、U、V、Wとしたとき、それぞれのレベルについてよく知る人が作成する。具体的にはそのレベルの上位にいる者と上司、関係者で作成する。



■クリニカルラダーはクドバス手法で作るのが近道
 クドバスを使えば、短時間で一定水準のクリニカルラダーができる。どこの病院でもスタッフが集まって、独自のクリニカルラダーを作成できる。しかも、作業時間は2〜3時間程度である。クドバス(CUDBAS: Curriculum Development Based on Ability Structure) は1990年に開発した。CUDBASはカリキュラム開発手法の名称である。看護実践能力を中心に項目を書き出し、整理できる。実践能力ばかりでなく背景となる考え方もリストすることは十分可能である。
  小集団活動によって展開する。明確にしようとする職業人についてよく知る5〜6名の方々で作業する。構成員は多方面から集まることがよい。
始めに名刺大のカードに「・・を知っている」、「・・・ができる」、「・・・の態度がとれる」という3つの語尾の文章を記入する。それぞれ、知識、態度、技能を表している。
そして、この後に類似カードや独立カードなどに分類して参加者の書いたカードは全て分類される。それらは仕事の動く単位でまとめて群とする。これらの群を重要度によって階層化する。群の中味のカードも階層化させる。
このようにして、縦に仕事内容を重要度の高い順に並べ、横に能力カードの重要度の高い順に並べてマトリクスを完成させる。これでクドバス・チャートが完成する。これをリストとして構成し、クリニカルラダーに採用する。ラダーにするには評価項目として妥当性・信頼性があるかで再度検討して、修正するとよい。

  

■クリニカルラダーはいつ作るか
クリニカルラダーが目的とするのは教育研修に反映することである。これに役立てるには、年度教育計画が確立する時期に合わせて作成し、評価し、方針に生かすのがよいだろう。10月頃までに作成し、11月に自己評価と上司評価をまとめる。そして4月の新年度教育計画実施に向けて、12月頃に教育研修計画を作成するのが普通のようだ。






1.看護継続教育のプランを作る-能力開発システム構築の第一歩

漠然と教育したのでは無駄が多い。あるいは、研修に派遣されて受けてきたものは役立たないと言われるようだ。研修は役立って始めて機能したと言える。機能しない教育に何故、コストを投入するのだろうか。継続教育の計画化は、まず、病院の未来像や直面している環境の変化を適切にとらえて、戦略化することから始まる。その戦略にとってどのような職員、看護師が必要かを明らかにするのである。このためのツールとして「クリニカルラダー」が役立つ。


2.クリニカルラダーを開発するには-求められる看護師のイメージを明らかにする

変化や状況、現実に対応する職員の人物像を明らかにすることで教育目標をができる。「職員の人物像を明らかにする」とはいったいどのような方法で行えば良いのだろうか。この作業が確実に展開できなければクリニカルラダーはできあがらない。大事なことは的確で早くできるクリニカルラダーの作成手法が求められる。2000年5月、徳島大学医学部付属病院の看護部と共同研究でクリニカルラダー開発手法を提案し、検証してきた。クリニカルラダーは全ての病院、施設で使える万能なものは無い。また、他の病院の内容をそのまま適用することはできない。なぜなら、病院ごとで機能が違うし、看護の質的相違点がどうしてもあるからである。だから誰でもどこでも作成できるようなツールが無ければならないと考えている。


3.CUDBAS手法をクリニカルラダー開発に使う

適用した手法は技術教育のカリキュラム開発で用いているCUDBAS(クドバス)手法である。これを看護教育に適用した。ラダー作成の作業は3時間程度で完了する。この後に時間をかけながら改訂を進め、確かなものへ、評価・判別ができるものへと改訂を重ねる。これを2ヶ月程度の期間で完成できればよい。作成も、進め方もそれほど難しくはない。CUDBASについてはこのホームページの別の頁[クドバス]に詳しく紹介しているので、ご覧いただきたい。
これまでもCUDBAS関連のセミナー、講演会は多く開催されてきたが、研修コースとして開設されるまでにはなっていなかった。看護界に導入されたのが、最近のことだからである。ものづくりに関する技術教育では10年以上にわたってすでに使用されてきている。


4.クリ二カルラダーの使い方、役立て方

クリニカルラダーは両刃の剣である。職員一人一人がどのような位置にいて、どのようなことに優れているか、何が不足点かを明らかにする。このことが研修対象者の選定、研修目標の設定、研修指導者の選定、配属部署の決定・・・などと応用範囲が広がる。大事なことは職員本人による評価で自己認識することである。そして、上司としても部下の現状を再認識することだ。この後に、どのような教育機会が職員の向上につながるか、病院の現代的なニーズにどう応えることができるかに反映する。このことがとても大事なことである。


5.関連する図書・論文

このホームページの論文リストからCUDBAS、看護の職業能力関連をピックアップすれば見通しが立つだろう。
@森 和夫「看護婦の職業能力評価に基づく継続教育プログラムの編成」産業教育学研究、第32巻第1号、pp.41-42、2002/1、日本産業教育学会
A大岡裕子他「徳島大学医学部付属病院におけるクリニカルラダーの開発−看護の質向上に資する現任教育をめざして」看護管理、第12巻第2号、2002/2、医学書院
B「クリニカルラダーの作成方法―クドバスによって看護実践能力を記述する」「中堅&主任」9月号、日総研2004/9





日総研「月刊ナースマネージャー」誌
、2009年2月号

「クリニカルラダー作成のプロセス−クドバス手法で病院の特性を生かした個別性のあるラダーを作る」 Vol.10,No.12,pp.6-16
     





CUDBASに関するPDF論文  ■産業教育学研究誌掲載論文は公開を休止しています

発刊年 論文タイトル PDF 掲載誌
2005  職業教育カリキュラム開発手法CUDBASの普及と改良 .  産業教育学研究誌 第36巻、第1号、単著
2000  給食調理サービス訓練におけるカリキュラム改善
 −変化に即応するカリキュラム改善システムの構築をめざして−
.  産業教育学研究誌 第30巻、第2号、松谷・山本・平山・新井・森(共著)
1998  看護婦の職業能力と養成カリキュラムの課題
 −看護職に求められる職業能力の実態調査から−
.  産業教育学研究誌 第28巻、第2号、村本・森(共著)著
1998  CUDBASの発展とその展望 
 −職業能力評価の構造と体系化に関する研究序説−
 職業能力開発研究誌 第16巻、単著
1991  職業能力の分析に基づく職業教育カリキュラム開発の方法
 −CUDBASの原理と企業内教育指導員養成カリキュラム開発への適用−
 職業訓練大学校紀要 第20号B、単著
1990  公民館職員の専門性
 −DACUMによる職業能力の分析と研修プログラムの検討−
 職業訓練大学校紀要 第19号B、白井、西東・森(共著)




「クリニカルラダーの作成方法―クドバスによって看護実践能力を記述する」
「中堅&主任」2004年9月号、日総研に記事が掲載されています。2004/9





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※ラダーに関する情報は→こちら 

「看護人材育成」誌2016年4・5月号に、クリニカルラダーの記事を掲載。
「初めてでも安心!CUDBASを用いたラダーの作成・見直し方法」
 1. いまどきのラダーの動向と見直しの意義
 2. 見直さなくて済むラダーはどう作成するか
 3. 現行ラダーを見直して作成するにはどうする:か
 4. ラダーの備えるべき条件を実現する
 5. ラダー文章の改訂コンサルテーションの事例
 6. トライアルのコンサルテーションの事例
 7. 機能するクリニカルラダーを求めて
 

2019年6月、「看護人材育成」誌にクリニカルラダーと能力マップに関する記事を掲載。
充実した院内教育につなげる組織・部署にあわせたラダー作成〜クリニカルラダーと能力マップが拓く院内教育の新しい姿〜」




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