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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 






キーワード解説「実験と実習の違い」



森 和夫  技術・技能教育研究所



実験と実習は似ているように受け取られているが、大きな違いがある。

実習とは
実習は実際に体験することによって、実務に関する内容を総合的に学習することだ。
実習には「実際を体験的に学習する」という意味が含まれている。このように実習には学習の意味が入っている。
「職場実習」「教育実習」「工場実習」「臨床実習」・・・・、どれをとっても学ぶという意味が含まれているのである。
現場における労働には実習はあり得ない。生産そのものを行う場であるからである。学習者が現場を学ぶために職場に入ることはあるが、それは労働ではない。
実習とは「生産にかかわる特定の過程を意図的に学習者に実行させ、その準備や実行の手続きを含む全過程を体験させる方法」と定義する。

実験とは
これに対して、実験はある事象の検証を意図している。ある条件では結果はどう変化するか、条件によって結果に違いはないか、方法を変えてみるとどうか・・・と追究する。
実験とはある事柄について実際に検証し、生起する原因や条件などを明らかにすることと言える。
実験の大事なところは、実験を行う前に、ある考えを定めることだ。なんらかの考えがあって、次に実験が来る。
この「考え」は必ずしも仮説である必要はない。
また、より明瞭な仮説を設定するために実験が行われることがある。
実験には学習という要件は入ってはいない。つまり実験という方法を学習に適用することがある。
実験は「さまざまな事象を、一定の条件下で意図的に実行させ、予め設定した仮説を検証する方法(もしくは仮説を探索する方法)」と定義する。

実習的実験と実験的実習
さらに実験と実習の中間のスタイルがあると仮設してみた。実習的実験と実験的実習である。
ややこしくなるかもしれないが、簡単に言えば、「実習の手法を使って実験すること」「実験の手法を使って実習すること」の2種である。
 このようにしてここでは実験と実習に関して4種のスタイルを設定している。下表にこれを示す。










 ←実習と実験の進め方についてはこちらを参照ください。














詳しくは下記の論文をご覧ください。
テーマ別PDF論文集まとめ [ 指導者論、指導方法論、大学教育FDは→こちら ]

1991  生産技術教育の方法理論(3)−スキルスタディ展開のバリエーション−  職業訓練研究誌 第9巻、単著
1990  生産技術教育の方法理論(2)−授業の分析によるアクティビティの抽出− .  職業訓練研究誌 第8巻、単著
1989  生産技術教育の方法理論−方法仮説と授業実験−  職業訓練研究誌 第7巻、久下・森(共著)














こちらも参照ください。















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