実習とは何か
実習とは何かについて考えてみよう。
よく使われている言葉だが、意外にもその意味を確かめて使われているものは少ない。
誤解とも思われることも多く見受けられる。
もう一度、原点に立ち返り、再考することにしよう。
森 和夫 技術・技能教育研究所 2021/03
実習とは何か
.実習は実際に体験することによって、ある事柄ついて総合的に学習すること。実習には必ずしも実務ばかりで無く、課題に関する内容を設定することもある。
.「実際、体験、実務、総合的、学習・・・」の言葉の中に実習の基本的な意味が含まれている。
.「実」には実際のもの、真実もしくは事実のように「その事柄の本体」を表現している。実際とはその場のこと、体験は体で経験すること、実務は実際の務め・働きを表している。総合的とは単一の反対の複合的・全体的な観点が含まれる。学習は学び習うことだが、学びには主体的な意が含まれ、習うには教えに対してつかみとることを示している。実には真か虚かといえば真を扱う。虚は扱わないのである。
デジタル大辞泉の解説
.根本のもの、そのものとなる意を表す。その中の主となるものであること、特に重んじるものであることの意を表す。1うそ偽りのないこと。真実。本当。、2内容。実体。実質。、3誠実な気持ち。まごころ。
実習とは何か
.実習には「実際を体験的に学習する」という意味が含まれている。このように実習には学習の意味が入る。
.「課題実習」「職場実習」「教育実習」「工場実習」「臨地実習」・・・・、どれをとっても学ぶという意味が含まれる。
.現場における労働には実習はあり得ない。生産そのものを行う場であるからである。学習者が現場を学ぶために職場に入ることはあるが、それは労働ではない。
.実習とは「実際の事柄にかかわる過程を学習者が実行し、その準備や実行の手続きを含む全過程を体験によって学びとる方法」と定義する。
実習の種類
.「課題実習」=テーマについてその本体を学び取る実習
課題は多様なものでよく、その広がりは多大である。要は学習者がそのテーマについて必要な事項を自ら学び取るように計画したものである。
.「現場実習」=そのことが行われている場所で体験・経験することにより、学習者が主体的に学びとる実習
具体的には「職場実習」「教育実習」「工場実習」「臨地実習」・・・・などの言葉で扱われている。関心事、テーマなどは学習者が設定もできる。
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徳島大学FDの歴史(2008年4月発行 発行者:徳島大学FD専門委員会)
授業評価アンケートによる講義の検討─ 2004年度前期調査結果の分析と提言─
(大学教育センター 教育評価・FD 部門)
授業評価アンケートによる講義の検討(2) - 2004年度と2005年度の比較と学部学科別の検討を中心に-
(大学教育センター 教育評価・FD部門)
2005年、教育評価・FD部門 報告(東京農工大学大学教育センター)
←こちらもご覧ください
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※森 和夫 略歴
職業能力開発、産業教育学・労働科学を専門とし、産業界を中心に活動。ライフワークは「技の上達」、博士(工学)。現在は技術・技能伝承、人材育成等のセミナー・講演の他、企業との共同研究、コンサルテーション、出版活動を行っている。現職は株式会社技術・技能教育研究所代表取締役、一般財団法人 職業教育開発協会代表理事。
主な経歴は東京農工大学教授(~2006年3月)、徳島大学教授(~2004年3月)、職業能力開発総合大学校教授、助教授、講師(~2000年3月)。学会活動は日本産業教育学会、日本人間工学会、人類働態学会、日本教育心理学会などで活動。海外活動はJICAよりマレーシア、ガテマラ共和国、ボリビア、フィリピンに海外短期派遣専門家として派遣され技術教育の指導者養成を実施した。
基礎研究とプロダクツの関連
技術・技能教育研究所の研究は「技術・技能研究」「職業能力研究」「指導技術研究」の3分野から構成されている。これらによって技能習熟理論が構築され、能力構造論として集大成される。この内容の基盤にあるものは能力論である。この基礎研究から幾つかのプロダクツが生み出された。仕事分析手法CUDBAS、指導技術訓練システムPROTS、技能伝承システム、技能分析手法SAT、生産技術教育の方法理論、人材育成の見える化コンセプト、開発的指導法がそれである。これらのプロダクツは時代のニーズに対応して応用プロダクツを生み出した。社会で、企業で利用され進化することで、広大なアプリケーションが生み出される可能性を秘めている。
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技術・技能教育研究所の研究開発成果のバックナンバーから最新の成果までを収録
技術・技能伝承 、技能分析・マニュアル作成、大学教育FD・指導方法、 看護教育・クリニカルラダー、クドバス
技術・技能伝承論文集
2021年度に指導者養成セミナーを実施します
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構のポリテクセンターで技術・技能伝承セミナーを開催します。
○ポリテクセンターでは、在職者向け職業訓練(能力開発セミナー)を実施しています。在職者の方ならどなたでも受講できます。
○職業教育開発協会は令和3年度は能力開発セミナーコースを、6月と12月に高度ポリテクセンター(千葉)、9月にポリテクセンター埼玉(埼玉)で開催します。
○セミナー名称は「技能継承と生産性向上のためのOJT指導者育成」です。
このセミナーの主な内容は人材育成計画作成法(CUDBAS手法の演習)、作業分析法(技能分析手法他)、技能指導法(5つの指導活動他)で、
指導者に必要な手法を短時間で学習できます。職業教育開発協会の保有する3つのツールの最短習得コースです。ご参加ください。
※パンフレットは→ こちら
2020年8月21日発売
「実践 現場の能力管理~生産性が向上する人材育成マネジメント~」
目次
まえがき
本書の概要と使い方
第1章 職場の課題と能力管理
第2章 能力管理とは何か,その範囲と機能
第3章 能力マップによる能力管理の方法
第4章 作業指導による能力管理の方法
第5章 能力管理の推進モデル
第6章 能力管理の実際(事例編)
A5版192頁、価格 2700円税別
■飛躍的な生産性向上を可能にする人材育成マネジメント手法「能力管理」を習得できる一冊!
組織の維持・発展には、組織のもつ優れた技術・技能を他者に伝えることが欠かせません。組織が生み出す製品・サービスの品質を担保するのは、最終的には一人ひとりの技術・技能だからです。
能力管理は、「保有する技能・技術を効果的な能力開発につなげることで、結果として個々人が能力を発揮できるような環境を整える」マネジメント手法です。かつては「誰に能力を管理する権限があるのだ?」と誤解され、ようやく使えるようになったのはつい最近のことです。
本書は、体系化されたマネジメント手法としての能力管理を具体的な事例をもとに解説しており、すぐに現場(会社)で役立てることができます。
日科技連出版社から、「実践 現場の能力管理」を2020年8月に発刊。
全国の書店、Amazon、楽天ブックス他で購入できます。
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