森 和夫 技術・技能教育研究所
スキルマップは、役に立ちますか?単に工程を並べて、作業者ができるかできないかを記載しただけでは教育はできません。
なぜなら、能力が記載されていないからです。これを解決するツールが「能力マップ」です。
〇能力マップとは
能力マップは人材育成を計画的に実施するに役立つ基本ツールである。ここで言う能力とは知識、技能、態度を指している。
スキルマップは作業工程を記載して「できるかできないか」を判断しています。ですから、人材育成では使い方が極めて限定されます。
スキルマップには技術的知識など表現されず、スキル形成に必要な知識、態度は記載されていません。
次のような能力マップがあるととても役に立ちます。
○能力マップの定義
能力マップとは「その仕事に必要な能力項目を縦軸に列記し、横軸に技術・技能者の氏名を列記して、表中に保有能力を記載したもの」である。
能力項目と人材の保有能力のマトリクスを表している。保有能力は通常、5段階評価で行う。
作業者の記載順序は左から年齢もしくは経験年数の順にする。あるいは全能力水準の合計点の順序で記載することも良い。
○能力マップの適用事例
能力マップは人材育成のさまざまな場面で使用できる。たとえば下記のような事例がある。
1. 人材育成計画、能力開発計画に活用
2. 技能伝承の重点項目を検出するのに活用
3. 教育前と教育後の効果測定に利用
4. プロジェクトチームの最適メンバー選出に、データから検索
5. 生産力の未来予測シミュレーションとして利用
6. 生産の問題・欠陥の克服を能力面から検討
能力マップの様式は次のようにする。横に作業者の指名と年齢を記載し、縦には能力項目を列記する。
クドバスではカード番号、重要度水準も記載できる。
技術・技能教育研究所方式は作業者の能力保有水準を5段階評価で記入し、カラー表示する。
カラー表示した実例を見てみよう。カラーで表示されているので傾向がわかりやすく把握できる。
能力マップの分析の仕方から教育計画への反映のさせ方など、工夫次第で活用の範囲は広がる。
2019年7月、「企業と人材」誌に記事を掲載。記事をダウンロードできます。↓
「人材の見える化が可能にする能力開発~CUDBAS手法による能力マップ作成で効率的な人材育成を実現する~」
※ラダーに関する情報は→こちら
「看護人材育成」誌2016年4・5月号に、クリニカルラダーの記事を掲載。
「初めてでも安心!CUDBASを用いたラダーの作成・見直し方法」
1. いまどきのラダーの動向と見直しの意義
2. 見直さなくて済むラダーはどう作成するか
3. 現行ラダーを見直して作成するにはどうする:か
4. ラダーの備えるべき条件を実現する
5. ラダー文章の改訂コンサルテーションの事例
6. トライアルのコンサルテーションの事例
7. 機能するクリニカルラダーを求めて