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キーワード解説
現場力とは何か


森 和夫  技術・技能教育研究所









・「現場力」という言葉は「現場」と「力」を結びつけた言葉で、人によっては設備や改善の程度など、生産力や生産性を「現場力」に含めて論じているものもある。また、特定の人材や特定の能力分野に限定した内容も少なくない。このように「現場力」ほど多義的に用いられ、語られている言葉はない。
・「現場」とは、生産点のことである。生産活動が行われるところだ。直接生産に関わる部署は明瞭に示せる。しかし、直接生産に関わらない間接部門のような部署といっても生産に密接に関連しているので、これらもその働いている場所が「現場」になる。このように「現場」とはその場所が事務室であっても、フィールドであっても、生産設備のある場所であっても「現場」となり得る。つまり、現場とは多様な労働の場を表している。


・生産活動とはものづくり労働以外の、例えばサービス労働でもあり、サービスの場が現場になる。管理者が管理業務を行っている場が管理者の現場となる。それは事務室である場合が多い。



・「現場力」とはその労働の場の力のことである。労働の場には「組織として構成された人材の集合体」がある。「組織として構成された人材の集合体」の力量を「現場力」と考える。


  
現場力=労働の場にある、「組織として構成された人材の集合体」の力量



・「現場力」は人材に焦点をあてた言葉として扱う方が妥当と言えよう。そこで、次のように定義する。

 「現場力とは現場の力量の総体を表し、現場の人材が保有する能力及び意識の状態をいう」

・能力とは知識、技能、態度で構成する。問題解決力は能力に含まれる。
・現場は人材の集合体である。だから、一人一人の能力の高さが大事になる。さらに、単なる集合体ではなくチームとしての力量も現場力を表している。一般に優れた「現場力」があると言う場合、優れた[組織×構成する人材×力量]のことを指している。


  
優れた「現場力」=優れた[組織×構成人材×力量]

・このような概念で整理すれば、現場力を向上させるにはどのようにすればよいかという方向の検討が可能になる。









・現場力の向上に必要なことは「具体的な内容項目」をリストアップし、常に現状を把握することである。現場の人材の強み弱みを明らかにして、人材育成によって学習すれば、現場力の向上が図れると考えられる。この方法として「現場力向上NAVIシステム」の活用が効果的である。


「現場力向上NAVIシステム」については「実践 現場の能力管理~生産性が向上する人材育成マネジメント~」に詳述している。


 ←こちらも参照ください。

 



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2020年8月21日発売
「実践 現場の能力管理~生産性が向上する人材育成マネジメント~」


  目次

  まえがき
  本書の概要と使い方
  第1章 職場の課題と能力管理
  第2章 能力管理とは何か,その範囲と機能
  第3章 能力マップによる能力管理の方法
  第4章 作業指導による能力管理の方法
  第5章 能力管理の推進モデル
  第6章 能力管理の実際(事例編)


   A5版192頁、価格 2700円税別


■飛躍的な生産性向上を可能にする人材育成マネジメント手法「能力管理」を習得できる一冊!

 組織の維持・発展には、組織のもつ優れた技術・技能を他者に伝えることが欠かせません。組織が生み出す製品・サービスの品質を担保するのは、最終的には一人ひとりの技術・技能だからです。
 能力管理は、「保有する技能・技術を効果的な能力開発につなげることで、結果として個々人が能力を発揮できるような環境を整える」マネジメント手法です。かつては「誰に能力を管理する権限があるのだ?」と誤解され、ようやく使えるようになったのはつい最近のことです。
 本書は、体系化されたマネジメント手法としての能力管理を具体的な事例をもとに解説しており、すぐに現場(会社)で役立てることができます。


 日科技連出版社から、「実践 現場の能力管理」を2020年8月に発刊。
 全国の書店、Amazon楽天ブックス他で購入できます。
 詳しくは日科技連出版社のホームページ
 


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   "Skilled Labor on High-Tech Age"

  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2017/07/18 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら 

 Contents
 1. Thinking about Skill and Technology
 2. Clarifying the Science of Skill
 3. The World of “Wisdom” which “Technique” creates
 4. Skilled Work on High-Tech Age
 5. High-Tech Skills and Original Skills
 6. Technical Education on High-Tech Age
 7. The Path to High Level Skill
 8. Digital Task and Analog Task
 9. Engineer Education and Skilled Worker Education
 Reference
 Message from author

 

  
「技術・技能論-技術・技能の変化と教育訓練-」

  「ハイテク時代の技能労働」に加筆し、発刊。
  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2018/03/20 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら
 

 目 次
 1 技能と技術を考える
 2 技能の科学を明らかにすること
 3 「技」が創る「知」の世界-酒造りの技能の伝承と機械化をめぐって
 4 ハイテク時代の技能労働
 5 ハイテク技能と原初技能
 6 ハイテク時代の技能教育とその展望
 7 高度熟練への道
 8 デジタルタスクとアナログタスク
 9 技術者教育と技能者教育の狭間を考える
 あとがき
 著者プロフィール

  



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※森 和夫 略歴
職業能力開発、産業教育学・労働科学を専門とし、産業界を中心に活動。ライフワークは「技の上達」、博士(工学)。現在は技術・技能伝承、人材育成等のセミナー・講演の他、企業との共同研究、コンサルテーション、出版活動を行っている。現職は株式会社技術・技能教育研究所代表取締役、一般財団法人 職業教育開発協会代表理事。
主な経歴は東京農工大学教授(?2006年3月)、徳島大学教授(?2004年3月)、職業能力開発総合大学校教授、助教授、講師(?2000年3月)。学会活動は日本職業教育学会、日本人間工学会、人類働態学会、日本教育心理学会などで活動。海外活動はJICAよりマレーシア、ガテマラ共和国、ボリビア、フィリピンに海外短期派遣専門家として派遣され技術教育の指導者養成を実施した。

基礎研究とプロダクツの関連
 技術・技能教育研究所の研究は「技術・技能研究」「職業能力研究」「指導技術研究」の3分野から構成されている。これらによって技能習熟理論が構築され、能力構造論として集大成される。この内容の基盤にあるものは能力論である。この基礎研究から幾つかのプロダクツが生み出された。仕事分析手法CUDBAS、指導技術訓練システムPROTS、技能伝承システム、技能分析手法SAT、生産技術教育の方法理論、人材育成の見える化コンセプト、開発的指導法がそれである。これらのプロダクツは時代のニーズに対応して応用プロダクツを生み出した。社会で、企業で利用され進化することで、広大なアプリケーションが生み出される可能性を秘めている。







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技術・
技能伝承 、技能分析・マニュアル作成、大学教育FD・指導方法、 看護教育・クリニカルラダー、クドバス、能力管理




    ←こちらも参照ください。

  




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技術・技能伝承論文集










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能力開発の実践ガイド
15の教育ニーズから逆引きで使う
発刊:ジェイマック
日本能率協会コンサルティング
A5判、208ページ、定価2,940円(税込み)