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技能伝承問題は解決したか?


森 和夫  技術・技能教育研究所


 「雇用延長で何とかやれそうです」、「ベテランに指導を依頼しました」、「技能伝承ソフトウエアを購入しました」、「マニュアルを製作依頼しました」という声を聞く。これで解決したのだろうか。私は技能伝承は「会社の持つ固有技能を安定的に維持し、管理し、時代に対応した新技能を生み出していくこと」ととらえている。企業独自の固有技能を如何にして継続させ、発展させるかに関わるものなのだ。換言すれば、企業の中に未来を担う人材が居続けることである。安易に考えると、問題を先送りし、手遅れとなり、最終的にはその分野から撤退となる。

 雇用延長は限りあるものであり、いつかは辞める。ベテランは仕事を身につけるために学習したのであって、指導の為にしたのではない。伝承には一定の整理をしなければ伝わることはない。技能に含まれるカン・コツの整理と分析は重要だ。後継者とペアで仕事をしたからといって伝承できるとは限らない。一方、ソフトウエアは映像の編集だけのものだ。カン・コツなどは入りようがないのである。ましてマニュアル制作の外注化は何をもたらすだろうか、技能伝承を不安定にするだけだ。

 見かけの技能伝承に甘んじることなく、本格的な技能伝承に取り組んでいる企業は少なくない。技能伝承のPDCを進めているのだ。トップから現場に至るまで、意志統一して進めている。いつの世も暗黙知は生み出され、そしてそれは伝承の対象となる。これらを技能伝承という古い枠組みで考えるのではなく、「暗黙知の管理体系」としてセットすることが求められている。



生産性新聞、2010/6/15、第2300号より





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