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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 




スキルマップは役に立つか?スキルマップでは人材育成ができない





スキルマップは単に職場の人材が何が出来るかを表したものです。
それ以上でもそれ以下でもありません。
一般的にスキルマップを作成してはみたが、その先が見えないというのが実情でしょう。
ではどうすべきでしょうか?
ここでは人材育成を目的にした能力マップを提案します。





森 和夫  技術・技能教育研究所


世間ではスキルマップを高く評価しているように見えます。作業者が何を担当できるかの見える化ができることは画期的でした。これまでに無かったものがあるということは相当のインパクトです。ISO認証と同時にスキルマップは人材管理のツールとして脚光を浴びました。しかし、管理のためのツールで、教育とは無縁のものと言って良いでしょう。

スキルマップは縦欄に作業の名称を列記します。例えば研削作業とか、仕上げ作業、測定作業などの言葉が入ります。横欄に作業者の名前を記載します。通常、年齢の高い方から列記します。表の中にはどの程度できるかについて5段階評価のスコアを記載します。工場の中の誰がどの作業をどの程度できるかを示したものです。人材育成の立場からこれを使おうとするとすぐに壁に突き当たります。これを見ても、何をどんな順序で教えるべきかが全く見えないのです。仕上げ作業と言ってもその範囲は膨大で、どこがその境界かを示してほしいものです。実態はわかったが何をどうすれば良いかが示されなければ意味がありません。

CUDBASによる能力マップはこれとは全く違います。人材育成から見ますと何を学習すれば良いかが明瞭に示されます。しかも能力は「知識」「技能」「態度」の3つの側面から記載されています。重要度の水準も明示しています。スキルマップが工場の作業の網羅であるに対して、能力マップは工場の作業者に必要な能力の網羅です。能力開発を目的とした能力マップはズバリ教育のための人材マップと言えます。実際に能力マップからカリキュラムを作成するプロセスをみれば一目瞭然です。

能力マップの得点の平均値の低い順に能力項目をソートしますと、対象者全体の弱みが明らかになります。また、平均値の高い順にソートすれば強みがどこにあるかがわかります。能力開発を弱みの克服ととらえますと教育実施の優先順位が一目でわかります。この他に課題解決に生かすことも可能です。例えば今抱えている課題の解決に必要な能力項目をピックアップして、低得点のものを集中して教育すれば、課題解決に大きく貢献することでしょう。

効果的なカリキュラム開発がいとも簡単に実現できてしまうところに良さがあります。今まで、スキルマップが教育に反映できない点はここに原因がありました。ですからこれからの時代は能力マップが常識になることでしょう。

*言葉を換えて言えば「管理のための管理」ではなく、「教育のための、そして個々人の発展のための能力マップ」に注目すべき時が到来したと言えます。






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2020年8月21日発売
「実践 現場の能力管理~生産性が向上する人材育成マネジメント~」


  目次

  まえがき
  本書の概要と使い方
  第1章 職場の課題と能力管理
  第2章 能力管理とは何か,その範囲と機能
  第3章 能力マップによる能力管理の方法
  第4章 作業指導による能力管理の方法
  第5章 能力管理の推進モデル
  第6章 能力管理の実際(事例編)

   A5版192頁、価格 2700円税別


■飛躍的な生産性向上を可能にする人材育成マネジメント手法「能力管理」を習得できる一冊!

 組織の維持・発展には、組織のもつ優れた技術・技能を他者に伝えることが欠かせません。組織が生み出す製品・サービスの品質を担保するのは、最終的には一人ひとりの技術・技能だからです。
 能力管理は、「保有する技能・技術を効果的な能力開発につなげることで、結果として個々人が能力を発揮できるような環境を整える」マネジメント手法です。かつては「誰に能力を管理する権限があるのだ?」と誤解され、ようやく使えるようになったのはつい最近のことです。
 本書は、体系化されたマネジメント手法としての能力管理を具体的な事例をもとに解説しており、すぐに現場(会社)で役立てることができます。

 日科技連出版社から、「実践 現場の能力管理」を2020年8月に発刊。
 全国の書店、Amazon楽天ブックス他で購入できます。
 詳しくは日科技連出版社のホームページ
 


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独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 東京支部生産性向上人材育成支援センターでオープンセミナー「作業手順の作成によるノウハウの継承」を実施します。

  詳しくは 雇用支援機構東京支部ホームページをご覧ください。


      

 作業手順の作成によるノウハウの継承

 コース番号 080-096、080-097
 日時
 第1回 2021/9/28??9:30~16:30(6時間)
 第2回 2021/11/5??9:30~16:30(6時間)

 締切
 第1回 2021/9/7? 
 第2回 021/10/15?


 ※ちらしは→こちら 第1回 第2回



 実施機関  一般財団法人職業教育開発協会
 講師   森 和夫

 会場  ハローワーク墨田5階、最寄駅 ?JR錦糸町駅より徒歩3分
 受講料  3,300円(税込)

 内容
 後輩従業員へのノウハウの継承を目指して、中堅・ベテラン従業員の作業の見える化を行い後 輩従業員が習得すべき作業手順の作成に係る知識とスキルを習得します。






    






技術・技能伝承論文集





人材育成のクロスポイント


企業と人材誌「人材育成のクロスポイント」12回シリーズ
 
産労総合研究所 (2016/1-2016/12刊)


Ginouken.com バックナンバー















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   "Skilled Labor on High-Tech Age"

  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2017/07/18 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら 

 Contents
 1. Thinking about Skill and Technology
 2. Clarifying the Science of Skill
 3. The World of “Wisdom” which “Technique” creates
 4. Skilled Work on High-Tech Age
 5. High-Tech Skills and Original Skills
 6. Technical Education on High-Tech Age
 7. The Path to High Level Skill
 8. Digital Task and Analog Task
 9. Engineer Education and Skilled Worker Education
 Reference
 Message from author

 

  
「技術・技能論-技術・技能の変化と教育訓練-」

  「ハイテク時代の技能労働」に加筆し、発刊。
  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2018/03/20 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら
 

 目 次
 1 技能と技術を考える
 2 技能の科学を明らかにすること
 3 「技」が創る「知」の世界-酒造りの技能の伝承と機械化をめぐって
 4 ハイテク時代の技能労働
 5 ハイテク技能と原初技能
 6 ハイテク時代の技能教育とその展望
 7 高度熟練への道
 8 デジタルタスクとアナログタスク
 9 技術者教育と技能者教育の狭間を考える
 あとがき
 著者プロフィール

  



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※森 和夫 略歴
職業能力開発、産業教育学・労働科学を専門とし、産業界を中心に活動。ライフワークは「技の上達」、博士(工学)。現在は技術・技能伝承、人材育成等のセミナー・講演の他、企業との共同研究、コンサルテーション、出版活動を行っている。現職は株式会社技術・技能教育研究所代表取締役、一般財団法人 職業教育開発協会代表理事。
主な経歴は東京農工大学教授(?2006年3月)、徳島大学教授(?2004年3月)、職業能力開発総合大学校教授、助教授、講師(?2000年3月)。学会活動は日本職業教育学会、日本人間工学会、人類働態学会、日本教育心理学会などで活動。海外活動はJICAよりマレーシア、ガテマラ共和国、ボリビア、フィリピンに海外短期派遣専門家として派遣され技術教育の指導者養成を実施した。

基礎研究とプロダクツの関連
 技術・技能教育研究所の研究は「技術・技能研究」「職業能力研究」「指導技術研究」の3分野から構成されている。これらによって技能習熟理論が構築され、能力構造論として集大成される。この内容の基盤にあるものは能力論である。この基礎研究から幾つかのプロダクツが生み出された。仕事分析手法CUDBAS、指導技術訓練システムPROTS、技能伝承システム、技能分析手法SAT、生産技術教育の方法理論、人材育成の見える化コンセプト、開発的指導法がそれである。これらのプロダクツは時代のニーズに対応して応用プロダクツを生み出した。社会で、企業で利用され進化することで、広大なアプリケーションが生み出される可能性を秘めている。







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技術・技能教育研究所の研究開発成果のバックナンバーから最新の成果までを収録
技術・技能伝承 、技能分析・マニュアル作成、大学教育FD・指導方法、 看護教育・クリニカルラダー、クドバス、能力管理






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技術・技能伝承論文集