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 技術・技能教育研究所・森 和夫ホームページ 



キーワード解説 「技術力とは何か」



森 和夫
 技術・技能教育研究所

会社の技術力が問題となっている。優位に立つには個々の企業の技術力を高めなければならない。

果たして技術力とは何であろうか。ここではこれをテーマに考えてみたい。



日本の企業が、海外企業と互角もしくはそれ以上になるには技術力が大切である。
優れた企業には必ず、他社を凌駕する技術がある。
技術力が問われる由縁である。
経営者はこのことを十分承知しているはずだ。しかし、どのようにすれば技術力が高められるかについては未知のものとなっている。
「技術力とは何か」を探求し、その力を伸ばす方法までを考えてみたい。

技術力を言い換えると、「技術の力」のことである。
企業が保有する技術の内容によってその程度、優劣が決まる。
力である以上、その質的、量的検討をしなければならない。
ここでは4つの軸を設定したい。
それらは、@新しい技術の開発力、A技術の展開力、B技術の拡張性・汎用性に優れる、C技術の活用力の4つとしよう。

これを図で描くと次のようになる。
この尺度で自社の技術力を評価すれば、何が不足しているかが明瞭にできる。



もう少し詳しく見ていこう。

@新しい技術の開発力
技術力の第一はそれが旧来の技術に基づいているか否かである。これまでの技術の延長線上にある場合は破壊力は少ない。
他社も追随が可能である。これに対して、新しい技術を生み出す力は大きな破壊力がある。他社の追随は難しい。
これを開発できる力は何よりも影響力が強いことだろう。
A技術の展開力
技術が根源的なものであればあるほど、展開力に優れる。
異分野の技術につながり、結合することで、当初想定していた以外の分野へも展開が可能となる。
例えば印刷の技術が、物の表面に塗膜を作ることとすれば氷を塗装することも印刷することもできる。

B技術の拡張性、汎用性に優れる
その技術は拡張性があるか、汎用性があるか無いかで使い勝手が変わる。
ひとつの技術が他の技術を生み出す力を持っていれば次々と広がる。
この性質に優れる技術は企業にとって大きな財産となる。

C技術の活用力
技術があったとしても、それを実業に活用できる力がないと意味が無い。
実際の製品、商品に反映させる力が無ければならない。

技術の活用力が問われる。


このように考えを巡らせてくると、これらの4つの軸は存在するのではなく、仮想的に描いた軸であって、
相互に関連した大きな軸を構成しているととらえることが妥当なのではないかと考える。


つづく



現代の職人を考える〜新職人論〜 2020/09

職人について調べてみると、これが職人の定義なのか?と思うことがある。
このような古いイメージの職人は現代社会では少ないのである。
現代の職人とは何か、街中にも工場にも、もっと広げて言えばものづくり以外にも職人はいる。
ここでは現代に合わせて職人を描いてみよう。







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2018/3/20 大妻女子大学人間生活文化研究所から出版し公開しました。だれでもダウンロードして、無料で読むことができます。
森 和夫「技術・技能論−技術・技能の変化と教育訓練−」


   "Skilled Labor on High-Tech Age"

  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2017/07/18 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら 

 Contents
 1. Thinking about Skill and Technology
 2. Clarifying the Science of Skill
 3. The World of “Wisdom” which “Technique” creates
 4. Skilled Work on High-Tech Age
 5. High-Tech Skills and Original Skills
 6. Technical Education on High-Tech Age
 7. The Path to High Level Skill
 8. Digital Task and Analog Task
 9. Engineer Education and Skilled Worker Education
 Reference
 Message from author

 

  
「技術・技能論−技術・技能の変化と教育訓練−」

  「ハイテク時代の技能労働」に加筆し、発刊。
  大妻女子大学人間生活文化研究所から出版 ( 2018/03/20 )
  ・誰でも、いつでも読める電子書籍です
  eBOOKのダウンロードは → こちら
 

 目 次
 1 技能と技術を考える
 2 技能の科学を明らかにすること
 3 「技」が創る「知」の世界−酒造りの技能の伝承と機械化をめぐって
 4 ハイテク時代の技能労働
 5 ハイテク技能と原初技能
 6 ハイテク時代の技能教育とその展望
 7 高度熟練への道
 8 デジタルタスクとアナログタスク
 9 技術者教育と技能者教育の狭間を考える
 あとがき
 著者プロフィール

  

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※森 和夫 略歴
職業能力開発、産業教育学・労働科学を専門とし、産業界を中心に活動。ライフワークは「技の上達」、博士(工学)。現在は技術・技能伝承、人材育成等のセミナー・講演の他、企業との共同研究、コンサルテーション、出版活動を行っている。現職は株式会社技術・技能教育研究所代表取締役、一般財団法人 職業教育開発協会代表理事。
主な経歴は東京農工大学教授(?2006年3月)、徳島大学教授(?2004年3月)、職業能力開発総合大学校教授、助教授、講師(?2000年3月)。学会活動は日本産業教育学会、日本人間工学会、人類働態学会、日本教育心理学会などで活動。海外活動はJICAよりマレーシア、ガテマラ共和国、ボリビア、フィリピンに海外短期派遣専門家として派遣され技術教育の指導者養成を実施した。

基礎研究とプロダクツの関連
 技術・技能教育研究所の研究は「技術・技能研究」「職業能力研究」「指導技術研究」の3分野から構成されている。これらによって技能習熟理論が構築され、能力構造論として集大成される。この内容の基盤にあるものは能力論である。この基礎研究から幾つかのプロダクツが生み出された。仕事分析手法CUDBAS、指導技術訓練システムPROTS、技能伝承システム、技能分析手法SAT、生産技術教育の方法理論、人材育成の見える化コンセプト、開発的指導法がそれである。これらのプロダクツは時代のニーズに対応して応用プロダクツを生み出した。社会で、企業で利用され進化することで、広大なアプリケーションが生み出される可能性を秘めている。



※「技術と技能に関する93人の定義」はこちらで閲覧できます。

https://www.tetras.uitec.jeed.or.jp/files/data/199602/19960215/19960215_main0.html




・・生産を支えるのはいうまでもなく,技術,技能,そして科学である。須藤は「辞書からみた技術と技能」の中で20種類の国語辞典等を調べた結果について述べている1)。この論文では技術は「技の表現」,技能を「技の実行」という対比でとらえることができると結んでいる。確かにこのような記述を認めるにしても,この両面で述べるというのはいかにも国語辞書らしい。なぜなら,私たちの身の回りの具体的な製造の姿に照らして考えると,欠落している内容を多く見いだすことができるからである。私はこの欠落している側面を明らかにして,さらに納得のいく「技術」と「技能」の内容に迫りたいと考えていた。1995年11月,日本の代表的な製造業の地域である愛知県に私は向かった。ポリテクセンター中部で開催される講演「最近の技術・技能とその伝承を考える」が予定されていたからである。私は1つの企てをもって講演に臨んでいた。・・

「技術」と「技能」に関する93人の定義」PDFは→こちら









須藤秀樹「辞書からみた「技術」と「技能」」はこちらで閲覧できます。
https://www.tetras.uitec.jeed.or.jp/files/data/199501/19950113/19950113_main0.html




 ←こちらも参照ください。


森和夫「職人の熟練技能とその伝承をめぐって」技能と技術誌 6/2006号






職人復権・次世代モノづくり塾 資生堂イベントグループ、パンフレット、1996




GINOUKEN Essential シリーズ(2021年版)は→こちら
技術・技能教育研究所の研究開発成果のバックナンバーから最新の成果までを収録
技術・技能伝承 、技能分析・マニュアル作成、大学教育FD・指導方法、 看護教育・クリニカルラダー、クドバス




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技術・技能伝承論文集