技術・技能教育研究所・森
和夫ホームページ

キーワード解説「作業概念とは何か」
ベテランの熟練技能は一般の人とどこが違うのだろうか。これは一言で言うと確かな作業概念があるということである。
いくつかの作業について実験的に検証した結果、4つの構成部分から成り立っていることがわかった。1つは環境(作業環境)である。これは「場の概念」といってよい。作業者の事態や状況が入っている。作業の実行上の諸条件(作業環境の変更)なども含まれ、作業者と作業を取りまく状況のことをさしている。2つは最終目標としての成果である。これは「到達目標概念」ともいうべき製品の最終的なイメージ、そして、到達すべき成果のイメージのことをさしている。これには品質や評価の側面を含んでいる。3つは行為(運動)である。つまり、「空間上の運動概念」といってよい。作業者の動作の感覚や行為の全体的な姿をいってよい。4つは構成(作業計画)である、つまり「手段と時間の概念」である。これには最適な作業遂行のプランがあり、作業者の行動,状況の変化等を時間系列で想定するのである。このように作業概念は4つの内容で構成されている。

簡潔に言えば、場、運動、目標、手段と時間の4点で構成される。熟練技能者の描かれる作業自体には細かなデジタルデータではなく、これらの全体的概念で実行されていると考えられる。
( 日本ロボット学会誌 23(7), 2005 森和夫「職人の熟練技能と伝承」より抜粋 )
-
http://ginouken.com/G-KEYWORD.html
職人の働き方と技能
カン・コツとは何か
熟練で獲得したものは何か
技能の上達のプロセス
技能分析手法SATの原理
技能分析手法SATの記載例
技能分析手法SAT普及の背景
技能分析手法SATのフォーム
技能デジタル化の過信
暗黙知の種類
暗黙知の階層
暗黙知インタビューの仕方
技能研究の方法論
技能の種類に合わせた指導の方法
技能研究の4つのアプローチ
技能の分類
http://ginouken.com/D-KEYWORD.html
技術・技能伝承とは
技術・技能伝承システム
暗黙知を管理する
モノづくりとは何か
技術と技能の違い
技能伝承活動の診断表
技能伝承で成功する企業の特徴
技能伝承の危機と克服の仕方
技能伝承問題は解決したか
SJTとは何か
伝承マニュアルの作り方
動画が有利な内容は何か
マニュアルのアウトソーシングで技術・技能継承問題はは解決できるか
技能道場の開発の方法
よくある技術・技能伝承の問題
技術・技能伝承活動の評価
※詳しくは「技術・技能伝承ハンドブック」をご覧ください。